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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第5章 任務終了
マリアも初めは驚いていたが、逆にひらき直った様子で、堂々とスミヤに白状する。
「ちなみに、初めて会った時に失礼な態度をとったのも演技よ。父様に警戒されないために」
「…失礼なのは元からだから演技とは言わないよ」
「な…ッ//」
顔を赤くしたマリア。
してやったりと、色っぽい流し目を残してスミヤは顔を前に戻す。
「ねぇ!本当よ」
玄関へ向かう彼にマリアは最後に声をかけた。
「本当のことよ…。ひとめ見た時から、わたし、あなたの事が気になってたのよ」
「それはとても光栄だな」
階段の上と、下。
背中ごしにスミヤは答えた。
「でもごめんね。貴女のように賢い女性はタイプじゃないんだ」
「…やっぱり…そうなんだ。ならどんな子がタイプなの?」
「……」
「…リリアみたいな?」
「そうだね…あれくらい愚かなほうが可愛いな…」
最後のひと言は小さすぎて、マリアに届かなかったかもしれない。
スミヤは扉を開けて外に出た。
任務を終えた自分はLGAに帰らなければ。
でもその前に…行かなければならないところが
会わなければならない女が、いる。
───…