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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第6章 報酬は、刹那的な温もりで
『 やめてください!嫌です…っ、ブレット様!』
『 どうしてこんな仕打ちを…!? わたしは帰りたい、船に……もとの生活に、帰してください……!! 』
泣いても、拒んでも、頼んでも…
許してもらえない
『 出して!誰かっ、この部屋から…出して 』
戸を叩いて叫んでも
誰も応えてくれはしない
『 …っ…もう…歌いたくありません…!! 』
歌うことを強要され
大好きな唄も、自分の声も愛せなくなった時
『…どう…か、お許しくだ…───ッ……!! 』
わたしは、声の出し方を忘れてしまった
わたしの声は誰にも届かなくなって…
ああ、でも、届かないのはどうせ同じなんだ。
そんな声なら必要ないのかな。
ああ…だからわたしは
自分の声を殺してしまったんだ……。