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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第6章 報酬は、刹那的な温もりで
無力なこの声を、自分自身で呪ったんだ。
でも、いつか、わたしの悲鳴に耳を傾けてくれる人が来てくれるかもしれない…。
呪いをといてくれる、王子様。
「──…スミヤ…さ ま…」
───…
リリアの瞼が上がる。
ふかふかのお布団。
枕元に置かれたランプシェードの灯りが、柔らかくてあたたかい。
そして、見覚えのない部屋。
天井の高さが違う。
自分が寝ているベッドも、記憶にあるそれとは形も大きさも違った。
「……」
「──…リリア?…何か言ったかい…?」
ベッドの縁に腰かけている、男の人の背中…。
この人が、わたしの王子様だ。