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わけありっ、SS集!
第1章 緋狐(ひぎつね)の宝玉

「こんなに近くだったのか……」

 そこは紛れもなく、自分が生まれ育った、母が待つ家がある村だった。山に囲まれた、町からだいぶ離れた医者のいない小さな小さな故郷(ふるさと)だ。
 こんなに、近くをさ迷っていたなんて。少年は、おかしくなって笑った。どうにか斜面のなだらかな場所を探し、下りた。
 母への薬草は、胸に大事に抱えていた。

 ようやく家にたどり着くと、母は蒼白な顔で待っていた。動けないはずの身体を無理矢理起こしていた。少年の姿を見つけると、涙を流してその細い身体を抱きしめた。
 自分は母に、多大な心配をかけてしまっていたのだ。何日も家を空けていた。自分が母の病気を案じて山をさ迷っている間、母も同じように自分の身を案じて神経をすり減らしていたのだ。
 母に会えた安堵と、母に心配をかけてしまった罪悪感から、少年は何度もごめんなさいと謝った。そしてとめどなく溢れてくる涙もそのままに、母の身体をきつく抱きしめ返した。
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