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わけありっ、SS集!
第2章 ぎゃるかのっ!

俺は小さくため息をついた。
いやあ、なんでこんなことに?
「ーーわかったよ。えっと、ミサちゃん?」
「ミサ……『キ』!」
「ミサキ……さん? お付き合いとかいきなりはちょっと……。でも友達からだったら」
「……ホント?」
がばっと顔をあげたミサキさん。鼻水鼻水。
近くで見ると、確かに肌はボロボロだった。そりゃまあ、無理矢理焼いたりどぎついメイクしてればなぁ。髪におそるおそる手をやると、こっちもごわごわ。
酷い顔だ。だけどヤマンバよりは、何百倍もマシだけど。
「ホント」
「……ちゅ、チュウ」
「はまだだめっ。だから友達っ」
「それでもいいっ、嬉しいっ! りゅっちゃん、りゅっちゃん大好きぃ!」
泣き笑いで死ぬほどきつく抱きしめられた。ていうか、外見変えても中身まんま変わってないじゃん。
それでもあの香水の匂いはなくなって、変わりに控えめなシャンプーの香りが鼻孔をくすぐった。
これなら嫌いじゃないし、むしろ……ちょっとドキドキする。
ゲーセンの客たちからは、盛大な拍手が巻きおこっていた。

