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わけありっ、SS集!
第3章 狼とエビフライ

まったりした声。
狼也くんは、雲の形から食べ物を連想するのが好きだったりする。可愛い。
六つくらいある雲のうちの一つが確かに細長い形をしてて、端が少し尖ってて、『エビフライ』に見えなくもない、かなぁ。
僕は笑った。
「ほら、お昼食べようよ」
「……うん」
狼也くんはお弁当。中身はちょっと凝ってて、遠足の時のお弁当みたいに可愛い。彼の母はキャラ弁とか作るのが得意らしい。狼也くんは、高校生でキャラ弁なんて恥ずかしいからやめろと、普通のお弁当を要求してるらしいけど、それでもやっぱり少し可愛い。
「あ、エビフライだ」
「本当だ」
狼也くんは相変わらずあまり表情の変わらない顔と声で、箸で摘まんだエビフライを顔の辺りまで持ち上げる。
確かに表情とか声は変わってないけれど、明らかに目に光が宿った。
雲で連想して、食べたくなっちゃってたんだね。
「美味しそうだね」
「うん、美味いよ」

