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わけありっ、SS集!
第3章 狼とエビフライ

もぐもぐと、エビフライを頬張る狼也くん。
みんな、彼のこういう一面知らないでしょ?
僕は一人、心の中でも優越感に浸る。
何が狼番長だ。みんなわかってないんだから。雲の形で食べ物を連想したり、可愛いお弁当を恥ずかしがったり、エビフライで喜んだり。
そんな狼也くんのこと、知らないでしょう? 屋上をちょっと覗けばわかるのに。たくさん話しかければわかるのに。
「一口、食う?」
「うん、ちょーだい」
僕は彼が一口かじったエビフライにがぶりとかじりつく。
美味しい。可愛いお弁当が得意なおばさんは、もちろん料理も上手だ。
ふいに思った疑問を僕は口にしてみた。
「あのさ、狼也くんはさ……。みんなに狼番長なんて呼ばれて道を空けられたり、遠巻きに見つめられるの、嫌じゃないの?」
「……ん?」
お弁当を食べていた手が、ふいに止まる。
「んー、別にー。わりとどうだっていいよ」
間延びした返事。
興味、ないんだなぁ本当に。

