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第10章 Scene.09

　
　全くの無一文だったボクらがこんな宿に泊まれるなんて有り得ない。

　あまり見た事の無い宿だけど。

　でも、エリスさんを挟んで立っていた二人の男たちの様子から簡単に想像できた。

「まぁ、エリスなら問題ないんだろうけど………」

　それは同意するしかない。

　エリスさんの底抜けの性欲に、逆にあの二人の方が心配。

「でも…いくらえっちが好きと言っても………」

「簡単に体を売りすぎよねぇ………」

　メリハリの効いた艶めかしい体を武器に男を漁る姿。

　まだ出会した事が無い、聞いた事だけはあるサキュバスという淫魔の存在が頭を過ぎっていた。

　まるでサキュバスのような性欲旺盛のエリスさん。

　ボクもアカネの知らない所で、何度かヤられかけた事があった。

　駆け付けたヤスさんに身代わりになって貰ったり、思い止まってくれたりしてくれたけど。

「…でも………違う……よねぇ………」

　エリスさんが淫魔だとは思いたくなく、思わず呟いた。

「………でさぁ………」