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先生とわたし。
第5章 二人きりの放課後

緒方は優の前の席に、椅子を跨いで後ろ向きに座っていた。


わぁ~先生近いよ・・・心臓のドキドキが聞こちゃいそうだよ。


優は初めてこんなに緒方と近づき、恥ずかしさに顔をなかなかあげられずにいた。


ノートを見つめる優の姿は、緒方には真面目に問題に取り組んでいるように写ったようである。


こっそり顔をあげると、緒方は何か考え事をしているようで、心此処にあらずな様子。


「・・・先生?」


先生なんか悩みがあるのかしら・・・


「あ、 ごめんごめん、何?」


先生もきっといろいろ大変なんだな・・・先生、ファイト!


「先生、何か考え事してた?」


そう言って優は、緒方を励ますように微笑んだ。


ほんのり色づく梅の甘い香りを孕んだ水無月の湿った風が、夕方の教室に流れ込み、優の長い髪に遊んでいた。


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