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先生とわたし。
第7章 一期一会
石段を4分の3程上がった所に、優の言葉通り鉄のフェンスがあった。
扉には錠がかかっていたが、優は僅かな隙間を見つけて器用に潜り込んで悪戯っぽくはにかんだ。
何度も通ったからかフェンスの隙間は若干拡がっており、司も苦労しながらどうにか通り抜けた。
少し上がると、また柵があり、有刺鉄線があるにも関わらずワンピース姿で、乗り越えようとフェンスを上りはじめた考えなしの優を、司は危なっかしくて止めた。
「優ちゃん、そこでストップ!!降りる時、危ないから、手貸すから待ってて!」
夏空の下、風が揺らす白いスカートの向こう、司の心拍数は遥か雲まで越えてゆくようだった。
司はライダーズパンツにブーツという出で立ちで、優は素足にサンダル履きという具合だった。
「こっちは隙間通りにくくて・・・」
「優ちゃん、足傷つけないようにね!」
司は優が体勢を崩さないようにフォローしながら、「スカートで大丈夫かよ…」と、気が気じゃなかった。
優は、スカートの裾が鉄線で破けるかもと判断したのであろう、
足がさばけるようにワンピースの両裾を白いショーツの左右の脇に挟み込んだ。
司は優の大胆さに圧倒され、なんだかとても爽やかな気分になり、自然と笑いがこみ上げ、晴れやかな気分に包まれた。
どうにか無事に下に降りた優は、満足そうな微笑みを司に向け、それはハレーションを起こしたように輝いて見えた。