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明治鬼恋慕
第7章 血の華

リュウの問いかけは
焔来の混乱を加速させるばかりだ。
「少し、食べて行く?」
「な、にを……!?」
「これ」
聞き間違いかと焦燥する焔来に
リュウはたったの二文字を返した。
涼しい顔で足元を指し示す──。
こんな時に限ってリュウの瞳は澄んでいて、子供のように残酷だ。
「どれも小汚いから川で洗いたいところだけど」
「‥‥っ」
「まぁ僕はさっきの魚で満腹だから食べないよ─ッ…
……あ!? 焔来!」
あまりにも残酷で──
見つめることができなかったし
自分に掛けられる優しい声に答えを返すこともできなかった。
焔来は後ずさり、走って逃げてしまう。
「焔来!」
「はぁっはぁ……!!」
彼は怯えていたのだと思う。
その足が、この場から一刻も早く立ち去ることを求めて懸命に動いた。

