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明治鬼恋慕
第7章 血の華
「りゅうたろう…」
「隠していてごめん」
「え、それが、お前の名前?」
「そうだよ」
「ホントかよ…なんか、すげぇ違和感」
「そうかな…っ」
追われる身の上、ずっと隠し続けてきた名前…。
打ち明ける頃合いを見失っていた彼が、こうして焔来だけに教えたというのに、聞かされた焔来にはあまり響いていないようだ。
「ずっとリュウって呼んでたからな。そりゃあ初めて聞いた時は変わった名だと思ってたけど今は…」
柳太郎と──頭の中で呼んでみても、しっくりこない。
そして何故か気恥ずかしい。
「りゅ、柳太郎……//」
口に出すとなおさらだった。
「焔来…どうして顔を赤くするの」
「だってな…っ、なんか、変な感じだ」
「僕も同じだよ…何故だろうね? 自分の過去を打ち明けるのって、照れ臭いよ」
口ごもる焔来が顔をあげるとリュウも同じように笑っていた。
ただ、その笑顔は照れじゃない。