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明治鬼恋慕
第7章 血の華
「焔来への想いを伝えるのは、平気なのに」
「そ、そういうもんか」
「そうさ、焔来──…好きだよ」
「─ッ て…//」
「僕は君が好きだよ。君は…僕の過去を聞いて、嫌いになった?」
頼りない微笑みを浮かべたまま、リュウが好きだと伝えてくる。
もう何度も聞いた言葉──。
それを口にするリュウの瞳には、焔来しか映っていない。
苦汁を飲んだ過去も、たった今皆殺しにした野党たちも、リュウにとってはどうでもいい。
「ねぇ、焔来…」
「嫌いなわけないだろっ、嫌ったりしない」
「本当?」
「本当だ! 指切りしたっていい」
「…ゆび、切り…?」
「指切りげんまん、──約束をする時のまじないだ、知らないのか?」
「…約束してくれるのかい? 僕を裏切らないって」
「する! あーもう、手を貸せよ」
真っ直ぐに見つめられ、焔来はとうとう自分からリュウの手首を掴んだ。
突き放せるわけがない。
少し前までリュウに感じていた怖さなんて、あっという間に消え去ってしまったんだ。
…もし、本当はそう言い切れなくとも
…言い切れなくとも、この瞬間での迷いは焔来に許されていないから。