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明治鬼恋慕
第8章 城下町
──
その後に二人が立ち寄った古着屋は、街の賑わいがいっそう際立つ大通りに面していた。
賑わいの原因は、左向かいにある呉服屋。
懐に余裕のある武士や町人たちが、次から次へと新品の着物を仕立てるために中へ入っていく。
堂々と掲げられた木の看板を横目に…
そんな贅沢が許されない者たちが、この古着屋を利用するのだ。
もちろん焔来とリュウも " こちら側 " だ。
「どうすんだ? どれがいい?」
「とにかく防寒性に優れた物がいい。裏地を確認して…」
室内の畳の上で、焔来はいくつかを選んで試していた。