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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯


「急にこんなマネ…っ…金持ちだからって許されると思ってんのか…!! 俺たちは人間だっ」

「…ふむ…。相方はこの様に吠えておるが、お前はどうなのだ?」

「…ハァ‥‥っ、ハァ……!!」


又左衛門は、必死な焔来をからかう余裕な態度で、今度はリュウへと話しかけた。

腕を後ろに縛られ、首に刀を突き付けられたリュウの足元には血だまりが──。

脂汗を浮かべて痛みに堪える彼に、言葉を返す余裕があるとは思えない。


「…ハァ…ハァ…!! 横暴な……男、だね……!!」


それでもリュウは口をひらき、掬い上げるような角度で又左衛門を睨んだ。


「…証拠も無し、に、僕らを捕らえて……ハァ、…憲兵にでも引き渡す つもりかい……!?」


リュウの言葉からはすでに敬語が抜けている。


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