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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯
「新政府に媚びを売るつもりか知らないけど……!! 僕らが鬼でないことが判明した、ら…ハァ、あんたの信用は、地に落ちるよ」
「クク…、ふはは!…その心配は杞憂( キユウ )だ」
「…!…何故だい…!?」
リュウの言い分を聞いた又左衛門は腹を抱えて笑った。
相変わらずよく口が回るものだと、関心しながら。
「政府に渡したところで一文にもならぬ。お前たちはせいぜい、花街に売るのが得策だろう」
「……!」
「はながい?…て…!?」
リュウの顔色が益々悪くなる。
花街の意味を知らない焔来には、その理由がわからなかった。
「ふん、なんだお前は知らぬのか。教えてやろう花街とは…──」
「うるさい、よ…!!」
「……」
「焔来は……純粋なんだ…!! あんたらの汚ない欲望に巻き込んでいい筈がない…っ」
歯を食い縛り、憎々しそうに顔を歪め
「ほむら…」
リュウはそっと、声だけは柔らかく焔来の名を呼んだ。