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明治鬼恋慕
第10章 狂骸湯
「…ハァ…ハァ、ハァっ…─狂骸…湯…!?」
代わりに、並々ならぬ焦りを見せたのはリュウであった。
「…どうして…あんたが、持っている……!?」
「ふん。裏の仕入れ先など、いくらでもある」
「まさか、そんなはず…っ」
「…フフ、さすがに慌てた様子だ。どうしたのだ? そのように青ざめて」
「……っ」
又左衛門に向けられたリュウの目には、怒りと一緒に絶望が浮かんでいた。
そしてリュウはそのままの目を焔来に移した。
“ 絶対に、飲まないで ”
リュウの顔が無言でそれを伝えている──。
「…なんだってんだよ…っ、これ、が…」
恐る恐る、焔来の口が問うた。
リュウの目からいつもの冷静さが消えていく様子が、怖くてしかたがなかった。