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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋

そんな目をリュウは部屋の隅へと流した。
そこには香炉が置かれており、細く揺れる煙が…途切れることなく立ち上っていた。
まさか、あれが……!?
「…ッ…まさかあれが毒なのか!? あの煙が原因なのかよ!?」
「少しなら吸っても影響ない──…っ…ハァ、……だから早く…部屋を、出よう…っ」
そう言って歩き出したリュウは、もう嫌というほど煙を吸ったに違いないのだ。
「…この煙は…っ…命に関わるようなものじゃ、ない…。ハァ、だから焔来は気にしなくても…──」
「ほんとかよ…っ」
「それより速く!…逃げよう、ここから……!!」
いまだ納得できていない焔来だが、リュウの言うとおりに部屋を出た。
うまく歩けないリュウに肩をかして廊下に出る。
「ハァ…」
焔来に支えられながら、リュウは申し訳なさそうに下唇を噛んだ。

