この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋

だがそれは、決していい事とは限らない。
憲兵が脇目もふらず走った先には──大楼の隣にある、高級茶屋があったからだ。
そこはまさにリュウが売られた陰間茶屋である。
「あいつら……!」
それを見届けた焔来は、身の危険を察知した。
「あの憲兵、俺たちを探しに来たのか…!?」
その可能性は十分にあった。
焔来は紅粉屋の主人を殺した。だが──家に住む他の人間まで皆殺しにすることはできなかった。
焔来を「鬼」だと知る者が
主人の死体を目の当たりにした後…警吏に連絡したのだろう。
さらに主人を殺した鬼が、仲間を救うために花街へ向かったのだと──。
“ どうする……!? ”
自分の始末の悪さが、こうして悪い結果をもたらしている。
そして今、ばれた筈だ
もうひとりの鬼もすでに茶屋から姿を消していることが。
「…急ごうリュウ…! あいつらっ、俺たちを殺す気だ…!!」
「……ハァ……!!……ハ ァ、…ッ……」
「…っ…、…リュウ?」

