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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋

だがそれは、決していい事とは限らない。

憲兵が脇目もふらず走った先には──大楼の隣にある、高級茶屋があったからだ。

そこはまさにリュウが売られた陰間茶屋である。

「あいつら……!」

それを見届けた焔来は、身の危険を察知した。


「あの憲兵、俺たちを探しに来たのか…!?」


その可能性は十分にあった。

焔来は紅粉屋の主人を殺した。だが──家に住む他の人間まで皆殺しにすることはできなかった。

焔来を「鬼」だと知る者が

主人の死体を目の当たりにした後…警吏に連絡したのだろう。

さらに主人を殺した鬼が、仲間を救うために花街へ向かったのだと──。



“ どうする……!? ”



自分の始末の悪さが、こうして悪い結果をもたらしている。


そして今、ばれた筈だ


もうひとりの鬼もすでに茶屋から姿を消していることが。





「…急ごうリュウ…! あいつらっ、俺たちを殺す気だ…!!」


「……ハァ……!!……ハ ァ、…ッ……」


「…っ…、…リュウ?」





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