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明治鬼恋慕
第12章 陰間茶屋

「…お…、…おい……っ」
「…ン─‥…ハァ、ハァ……っ、……ハァ」
憲兵の様子を伺っていた焔来が振り返ると
そこではリュウが──路地の板塀に背をあずけて寄り掛かっていた。
シワの寄った目元。半開きの口。
ますます呼吸が荒くなったリュウはとても苦しそうで、そして…今まで見てきたどんな彼よりも、色っぽい。
「…はぁ…ッ‥……─ク、ぅ」
「……っ」
場違いにも見とれてしまったくらいに。
塀に背中を擦り付けるように悶えているリュウには、逃げようと言った焔来の言葉が届いているのか。そもそも聞こえていないように思える。
「……、‥…ごめ…ッ……焔来」
…だが謝ったところを見るに、どうやら聞いていたらしい。
「ハァ、ハァ……く、…ッ‥…急ごう……!!」
「ちょ、待てよ」
一度うなだれた後、ふらふらと歩き出したリュウを
「リュウ、お前……!」
焔来は正面から受け止めた。

