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明治鬼恋慕
第13章 迎撃
「着物が汚れるだろっ」
「焔来が汚れるより、ずっといい」
丹念に拭いた後、彼は焔来の肩を掴んで背伸びをする。
「こっちは、舐めるね…」
自分よりも少し背の高い焔来に顔を寄せて、濡れた唇に舌先を這わせた。
ペロ...
「……ッ─ぉ」
「ハァ……」
「…リュ…っ…リュウ! くすぐったい、だろ…!!」
「…うん…でも、綺麗に……っ、しないと」
丁寧な動きで唇をなぞり…
押され気味の焔来に、リュウがしがみつく。
今の彼は、焔来をからかっているわけではない。香煙の効果で発情しているわけでもなく…
ただ真っ直ぐ、焔来に付いた穢れを嫌っていた。
どうにか早く、綺麗に……しないと……
「…本当は…!!……口の、中も」
「……っ」
「──…でもっ…そんな時間はなさそうだね」
リュウの言葉に続いて、警笛が鳴る。
不夜町に響いた不快な高音は二人のいる路地までしっかりと届いた。