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明治鬼恋慕
第13章 迎撃

「…応援を…っ 呼ばれた」
紅粉屋の主人によって陰間茶屋に売りとばされたという鬼──その姿が消えたことに気付いたのだろう。
憲兵たちは花街をしらみつぶしに探すつもりだ。
「まずはあの門を出るよ」
「だが門には見張りがいるんだろ?」
「そうだね。……でも、僕らの顔を知っているわけじゃない」
そう、相手は焔来たちの顔までは知らない。
けれどそれは何の気休めにもならない。それを理解しているから、二人は視線を水平より下側に…静かに路地を出た。
鬼殺し──
人々が鬼を特定する際( サイ )、その手段はいたって単純であり、ありきたりであり、そして曖昧である。
古来より変わることはない。
標的となるのは──" 美しき者 " だ。

