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明治鬼恋慕
第14章 決別
雪礫( ツブテ )が遮る視界…
二人はそこに、ひとつの山小屋を見付ける。
ギシッ
扉は壊れていなかった。
けれど中は荒んで( スサンデ)いて、それは暗に家主が長期にわたって不在であることを示していた。
「ここ…使えるのか?」
「扉の枠にうっすら埃が見える。…きっと、既に捨てられた小屋だよ」
木板が敷かれた床。真ん中には角火鉢が置かれ、低めの天井には石油らんぷが吊るされている。
壁にそって指を滑らせたリュウは、付いてきた埃をふっと吹き、そして物陰に誰も潜んでいないことを確認してから焔来を呼び寄せた。
やっと…休める。
腰かけるような場所は見当たらないが、ようやく寒さをしのげる場所に着いて、二人はほっと息をついた。