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明治鬼恋慕
第14章 決別

光が射し込まず暗い小屋で、吊るされた石油らんぷに灯された火が浮かび上がる。
心もとない火が辺りを仄かに照らし
そして焔来は、リュウの隣へ向かった。
「─んで、腹の怪我はどうなんだ?」
痛々しくリュウの着物に広がる血の赤色──。
それは腹を貫通した先にある背中側にも見られた。
「ああ…まだ塞がっていなかったみたいだね」
「脱いでみろよ。傷の具合見るから」
「心配されるほどでもないけど」
「いいからっ。見せてみろ」
リュウの手から らんぷを奪い、むしろの上に座らせる。
あまり気乗りしない様子でリュウが着物の合わせを開き出すと、焔来は灯りを彼の身体に近付けた。
着物の下には包帯が巻かれている。
…それは、リュウの意識がない間に陰間茶屋にて人間に施された手当てのあとである。
リュウはその包帯をスルスルとほどいていった。

