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明治鬼恋慕
第14章 決別
血止めのための包帯も、一度解かれるとただの頼りない布切れである。
リュウはそれを横に捨てた。
「後ろから貫かれ( ツラヌカレ )た時は酷く痛んだよ。でも、傷口としては大きくないさ」
「だが現に、血が出てきてるんだろう?」
「そうだね。肌の回復は間に合ってないみたい」
リュウの話し方は、まるで肌以外の内側の部分はとっくに治っているかのようだ。
「…" これ " も、痕になるかもしれないね」
「…っ…? リュウ、こっちの傷痕は…!?」
そして、脇腹のあたりを照らしていた焔来は気付いた。
今回の傷とは違う処──ヘソの少し下に、横に伸びる一筋の傷がある。
白い色の細い線…
それは消えかけの煙のように、うっすらと微かな痕だった。