この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第14章 決別
「お前は鬼でもあり、人間でもある」
「……っ」
「──だから希望なんだ」
父は焔来の頭に手を置いた。
置かれた掌は子供の時の記憶よりもずっと大きくて──静かな威厳に満ちている。
「お前には人間の弱さや優しさが理解できるが、それだけじゃない。鬼の孤独や寂しさも…身を持って知っている」
「……っ」
「そうだろう?」
「俺は…──ッ」
焔来にはその手を払いのけることができなかった。
どんなに強がっても、父の温もりに込み上げる懐かしさを否定できない。
それに──
「俺には無理だよ…っ。俺は馬鹿で、リュウを頼ってばっかの弱虫で……それに、それに」
「……」
「それに、人間、殺したんだ。刀で首を切り落とした! 相手の挑発にのせられて…っ」
懐かしさを覚えればそれだけ
変わってしまった自分自身に卑屈になる。
そんな焔来は思わず感情的に声を荒げた。