この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第14章 決別
──…
それから、焔来は目を覚ます。
「……リュウ?」
扉の隙間から漏れる光は、朝の訪れを焔来に知らせる。
パチパチと火鉢の炭が弾けるだけの静寂で、うっすらと映りこんだ視界の中にリュウの姿はなかった。
「リュウ? おい……どこだよ」
身体を起こし、布団として掛けていた夜着を横にやる。
むしろの上に寝ていたのはやはり焔来だけで、隣にいたはずのリュウがいない。
用でも足しにいったのだろうか。
…それとも、何か食料の調達に?
「……っ」
可能性なんて山ほど浮かぶが
今の焔来は妙に胸がざわついた。
何故だろう。それは──入り口の戸棚に立て掛けてあったリュウの刀も、一緒に無くなっていたからかもしれない。