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明治鬼恋慕
第14章 決別
認めない。認められない。
焔来はリュウを独りにはできないのだから。
「──ッ!?」
その時 焔来の耳が、静寂の中に何かを聞き取った。
「これは…ッ……!」
焔来はその音に覚えがあった。
空気を切り裂くような──凶暴な──破裂音。
それが何かを知った焔来は、迷いを振り切り走り出す。
行く先は勿論、足跡が示す道なき道。
リュウは必ずそこにいる。そしてこの音の正体は…。
「リュウ、やめるんだ…!!」
新雪が山のざわめきを吸い込み、不穏な音だけを焔来へと届ける。
焦る焔来の目も肌も、音の方向へ神経を研ぎ澄まされていた。
バン!
「何故だ!? 当たらない!」
「撃て! 撃つのをやめるなー!!」