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明治鬼恋慕
第14章 決別
ますます急になる坂のせいで足を滑らせそうになりながら、懸命に走る焔来の前に視界が開ける。
蹴った雪がパラパラとこぼれ、彼は慌てて踏みとどまった。
そこは小さな崖になっている。
「リュウ──!」
その崖から見下ろした場所に、焔来はリュウを見付けた。
「うぎゃあああ!」
「このッッ化け物ぉーー!」
だが…リュウは焔来に気付かない。
この時のリュウは目の前の敵を殺すことしか頭になかった。
崖の下でリュウと争っていたのは、黒い隊服に身を包んだ人間たち。憲兵だ。
二人を追って山に入ったに違いない彼等は
今、まさに
怒号と悲鳴を撒き散らしながら、リュウの刀の餌食となっている。