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明治鬼恋慕
第14章 決別

リュウの相手をしているのは四人組の憲兵。
至近距離で刀を使われ、彼等は次々に崩れ倒れた。
ひとりリュウだけが佇むそこへ──別の場所から、銃弾が飛ぶ。
しかしリュウは殺した憲兵の銃を奪うと、木の影に潜む生き残りに向かって撃ち返した。
「うが…!!」
リュウが放った銃弾は相手の腕に命中し、木に隠れていた憲兵は持っていた武器を手放さざるを得なかった。
丸腰になり尻餅をつく。
…リュウは、その憲兵へ近付いていった。
腕から血を流す憲兵は、ゆっくりと歩いてくるリュウへ命乞いを始める。
戦意喪失もいいところで、すっかり縮こまった男の足をリュウが掴む。
「ひぃっ!! た、助けてくれぇ」
そしてリュウは憲兵の足を持ったまま引き返し、恐怖で足掻く憲兵の身体を問答無用で引きずっていた。
ドサッ...
リュウはその憲兵を、仲間の死骸の上に重なるように投げた。
そうされた憲兵は発狂寸前──。
そんな男の頭に銃口を突き付け、リュウは何かを囁いている。
“ 駄目だ……! ”
崖の上の焔来は、その一部始終を見ながら固まっていた。
「リュウ…!! 駄目だ…!!」
「ああ゛ー! やめろ! やめてくれぇぇ!」
「……っ」
「たすげで…ッッ 助けてくれえー!」
「リュウ!!」
バ ン ...!!
「──殺すなあ! リュウ!!」
滅茶苦茶に叫ぶ憲兵に続いて、焔来の悲痛な声がリュウの名を呼ぶ。
それに合わせて──慈悲のない銃声が轟いた。

