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明治鬼恋慕
第14章 決別
バラバラに壊れて
肩の上で溶ける雪のように、跡形もなく消えてしまった。
「……クク」
「リュウ……!?」
「なぁんだ、やっぱり……こうなるんだ」
焔来が自分の失態に気付くも、取り返しはつかない。
崖を降りてリュウのもとに行こうとした。
けれどそれを拒んだリュウが、彼の足元に銃弾を飛ばした。
「来ないで」
「う…!」
「クク……、ぜんぶ、無駄だったんだ」
小刻みに震えるリュウの唇。
「──…君まで僕を裏切るんだね」
返り血を浴びた横顔──。
幽かな煙が上がる銃口を見つめながら、絶望の表情で笑いながら呟く。
「…ちが…ッッ…─!」
銃弾をかわして後ずさった焔来は雪に足をとられて動けなくなった。
「違うんだ、リュウ!…俺は…!!」
「言い訳なんていらない」
「…やめろっ…──違う! やめてくれ!」
肌を震わす純白の世界に
リュウの周りだけが鮮やかな赤色で──
動かぬ屍と化した憲兵達の黒い服と混ざりあい、それは最高に毒々しい華として咲き乱れていた。