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明治鬼恋慕
第15章 理由
全てが無駄……。
なんて切ないんだろうね。
「悪いのは焔来だ」
でもね、焔来。
君と僕が過ごした時間は、こんな結末を迎えて尚、僕が欲しかったものを与えてくれるみたいだよ。
──僕は手にした銃の向きを変えた。
そして銃口を胸にあてがい、絶望を抜けた先の驚くように穏やかな気持ちで、引き金に指を添えた。
“ 焔来…君は、この結末を予想していたのかな ”
君に拒絶されるくらいなら、僕は真っ先に死を選ぶんだ。
死ぬ理由がなくて仕方なく生きていた過去の僕が、喉から手が出るほど欲しがっていたものを、こうして君だけが与えてくれる。
君は僕の生きる理由で……
同時に、死ぬ理由にもなってくれた。
最期にお礼を言うべきだろうか。
「やめろぉぉぉ!!」
「……フ」
ありがとう、焔来。
───…