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明治鬼恋慕
第15章 理由
『 ……ひとり残らず、死ねばいいのに 』
あの時のリュウも、いろんな物を失って多くを諦めて、…そして溢れたこの言葉だったのだろうか。
今の焔来のように
大切な物を奪われた絶望を経て──。
ギリッ
「──…ちが う」
焔来は額を幹にぶつけたまま動けずに、奥歯を食い縛った。
寒さで震える顎を止め、きしむほどに強く…。
「…俺が……あの時、自分で……!!」
奪われたのではない。焔来が自ら捨てたのだ。
裏切ったのは焔来の方だ。
…焔来にはその自覚があった。
だからこそ居場所がない。なのに──
「……!? …っ…、これ…は…」
皮膚が擦りむけるほどぶつけていた額を離すと、見覚えのある荒んだ小屋が焔来のすぐ横に現れた。