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明治鬼恋慕
第16章 吐露
「倒れたすぐ横に…いっぱい転がっていたからさぁ。…ハァっ……無意識…に、がっついちゃった」
「…っ…リュウ…!?」
着物の袖をつたって、新たな血が滴る。
今のリュウが纏う雰囲気は…なにか
何かが、今までとは違っていて。
怖さに拍車がかかっていて──
しかも、それを隠す気配がない。
「……また、怯えてる」
焔来の顔色が曇ったことを察しても、今のリュウは笑顔のまま。
「…まぁ当然だよね?…僕は…いま、とても苛立っているから…っ。……死に損ないの、自分が憎くてたまらない…!! せっかく君が、死のうと思えるほどの絶望をくれたのに」
「…リュウっ」
「──…それを無下にした自分が許せない…!!」
死にきれなかったことを後悔し、自身の迷いを恥じているのか…。
リュウの笑みは軽蔑を込めて、内側に向いていた。