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明治鬼恋慕
第16章 吐露
俯くリュウの緑の虹彩と…茶色の瞳は
涙の膜に映り込み、空気に溶け込む静けさと冷たさで揺らいでいた。
その両目から涙が落ちる。
リュウは壁についていた背を離すと、よろけながら焔来へ歩み寄った。
「……!」
涙をたたえた目が、座る焔来を真っ直ぐ射止める。
普段、泣く姿など見せないリュウなのに
…こんなに涙が似合う顔を焔来は知らなかった。
悔しさや苛立ち、執着──それらを超越する、悲しみを胸に
自身の胸を銃弾で撃ち抜いた…あの瞬間の彼と、よく似ている。
足取りの危ういリュウが器の破片を踏まないかと焔来は心配した。
けれど偶然か、リュウの足はそれらを上手く避けて歩いた。