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明治鬼恋慕
第3章 擬態
人在らざる者…。
そしてそれはリュウも同じである。
「いいや、怪我は怪我だよ。…だからあんな…名主のお遊びに付き合うものじゃない。いつも言ってるじゃないか」
「千代様が、俺が出るのを毎年楽しみにしてんだ」
「…また、千代様か」
リュウの目が細まる。
主張の強すぎない爽やかな目元と、細くなだらかな眉。立体的にスッと通った鼻筋。
小さな頭を支える首は細長く、高い背丈ともバランスがいい。
そしてその容貌は
どこか悲運さえも連想させる。
それはリュウの中性的な…儚い雰囲気からくるものだろう。
この見目の美しさが正しく彼が「鬼」である証であった。
「一応、言っとくけど、この痣付けたのリュウだからな? そんなに試合が嫌いならお前だって出なければいいだろ。俺に優勝をゆずれよ」
「…仕方ないじゃないか」
「何が」
「…嫌なんだよ。焔来が優勝して、村の女たちにもてはやされるの」
「……」
リュウの持つ灯りが、大真面目な彼の表情を照らし出していた。