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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
話す二人の間に
村から走ってきた白犬が飛び込んできた。
「シロ…」
シロは橋の上のリュウではなく、土手で膝を付く焔来のところに駆け寄った。
そしてシロを追いかけて──千代が現れる。
「…ハァっハァっ…ほむ、ら…!!」
「千代様…──」
「…やっと…ハァ─ケホッ、…追い付い、た」
脱いだ草履を手に持って、着物の裾を乱した彼女が息を荒げる。
彼女は川岸に焔来の姿を見付けると、安心した顔で立ち止まった。
泣いて赤くなった目で焔来は千代に振り返る。
「どうしたの?…急に…ハァ、焔来の様子が変になったから…心配で…」
「……っ」
「なんでここに来たの?」
息を整えた千代は顔を上げて、改めて彼を見る。
そこで焔来の頬を濡らす涙に気が付いた。