この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
いつも明るい焔来が泣いている姿を初めて見た彼女は、すぐに心配して駆け寄ろうとした。
「え…!? 泣いて、る…!? どうして…っ」
「それ以上──…焔来に近付かないで下さい」
「…っ…リュウ…」
しかしそれを止める声がかかる。
見上げると、橋の上にリュウがいた。
「…リュウ…っ…あなたまでここに?」
千代はこの美しい少年が苦手だった。何故ならば、いつも彼からは自分への敵意を感じるからだ。
彼女は思わずリュウから目を背けて、土手の下の焔来に顔を戻す。
「……?」
でも…どうしてだろう。
焔来もまた彼女から目を背けたのだ。
“ 焔来……? ”
千代を、先ほどまでとは違う不安が襲った。