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明治鬼恋慕
第4章 鬼狩り
「…それは…っ、どういう意味ですか」
背を向けたまま聞き返した焔来は、彼女に見えないところで強く拳を握っていた。
「いまさら聞かなくてもわかるでしょう? わたし、ずっと…、焔来のことを」
「──やめてください!」
「……!?」
「俺は…っ…千代様に隠し事をしています。だからそんなの、駄目なんですよ」
「隠し事…!? なに? 教えてよ!」
「──…千代様。焔来を困らせないで下さい」
「…っ…わたしは焔来と話しているの!」
横やりをいれたリュウを、切羽詰まった千代が睨みあげた。
部外者は黙っておけと言いたげな彼女の目に──
「──フっ」
リュウはこらえきれず、笑うしかない。
「笑わないでよ…!! 失礼よ」
「……僕が話しましょうか」
「…え」
「焔来の隠し事を──…僕が話しましょうか」
茜色に染まった夕暮れの空を背景に
冷たい声色でリュウが問うた。