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明治鬼恋慕
第5章 出立
「別に誰でもいいんだと思うよ? 軍事力と統率力を見せ付けるための、見せしめができるなら」
「…見せしめ…?」
「政府は幕府を転覆させ、年号も変えた。新しい時代の到来を…国情に疎い地方の百姓たちにまで知らしめなきゃいけないからね。鬼狩りはそれにもってこいだ」
「……」
「…また、泣くの?」
「泣かねぇよ!」
焔来はもう泣かない。
だが新しい政府のすることは酷く非情理だと感じる。
憤り、口を閉ざす焔来に対して…
…リュウはやはり淡々としていた。
「焔来も急いで荷造りして。村の人間が眠ったら、今夜中に逃げるんだから」
達観した性格の彼は、現実をすんなりと受け入れ、生き残るための行動を起こしている。