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明治鬼恋慕
第5章 出立
仰向けに押し倒された焔来の上半身は釜戸に乗り上げ、直角に近いくらいに腰が曲がる。
「…ハァ、リュ…ウっ」
それは決して楽な体勢とは言い難い。
口内に侵入したリュウに舌を絡められながらも焔来は足掻いた。
「…ン…っ…ハァ…!!」
「……っ」
だが声は出せない。
互いに舌と舌を擦りあい、きつく吸われる。
積極的に絡めてくるリュウの舌に応えてしまうのは、もはや条件反射だ。
「…ん‥‥ふ、ッ─‥」
長い接吻にひたる内に…焔来の肌は耳からうなじまで赤く染まっていった。
これがもし、どこの誰ともわからぬ破落戸( ゴロツキ )相手だったなら、意地でも押し退けて突き返してやるところ…。
しかしその相手がリュウだというのが、いけない。
焔来は強く拒めない。リュウに口内を奪われることはどこか歪んだ歓喜を身の内に引き起こし、抵抗の力を奪ってしまう。