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明治鬼恋慕
第5章 出立
この綺麗な男の子を死なせちゃいけない。自分が助けなきゃいけない。
そんな使命感を胸に、父様に頼んで彼を村に連れ帰った。
どこから来たのかと聞いても答えない。
親のことにも口を閉ざす。
とにかく謎が多い焔来だったけれど、自分は全く気にしなかった。
何故なら焔来は強くて美しかったから…
そんな彼と一緒にいるだけで、自分は幸福でいられたから。
“ …その報いが、こんな形で現れたのね ”
自分は焔来の外見しか見ていなかった。
もし深いところまで踏み込んだら、鳥のようにどこかへ逃げてしまいそうで。
「……そうだわ」
ふと、千代は歩く足を止めた。
不思議そうに見上げるシロの前で、丸まっていた背筋を伸ばす。