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明治鬼恋慕
第6章 山越え
水面を見るリュウの真剣な眼差し。
「──ッ」
刃の切っ先が鋭く光り、次の瞬間──
下から掬うように弧を描いた刀の峯( ミネ )が、水中の何かを岸辺に打ち上げた。
「さすがだな」
川の中の焔来が、握り拳を頭上高くにかかげる。
曲芸にも負けないリュウの華麗な刀さばきに拍手をしたい気分だ。
「…ふぅっ…これで六匹だね」
「大漁、大漁♪」
リュウによって岸に上げられたのは川魚だ。
焔来が誘導して…リュウが仕留める。これが二人の狩りのやり方。
落方村を離れて十と五日。
食料の調達はこんな具合だ。