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明治鬼恋慕
第2章 落方村

名主と言えば、村のまとめ役であり一番の権力者。
その娘とあらば…よほどお高く止まっているのかと思いきや、彼女はそうではない。
「そうやって特別扱いしないでよ!」
この通り、好奇心旺盛なわんぱく少女だ。
「なんで焔来は触っていいのに、わたしは駄目なの?」
「だからー…──その、…こいつ、女は苦手みたいで」
「うそつき」
「小さくても噛むときは噛むんですよ!」
そんな千代と言い争っている焔来は、訳あって、彼女の守り役として親しくしている少年だ。
今は名主が用意してくれた家にひとりで住んでいる。

