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明治鬼恋慕
第7章 血の華
「リュウ…っ」
焔来がリュウの背中へ小さく声をかけた。
野党たちの関心はすっかりリュウに移ってしまい、焔来のことは眼中になさそうだ。
“ 確かに刀を持ってるのはリュウのほうだけど ”
リュウとは違い焔来は丸腰だ。
と言っても、こんな人間相手なら武器がなくてもやり合える。
“ そりゃあ数を考えたら不利だ。でもこいつら…刀を握ってる手にぜんぜん力が入ってない、たぶん素人だ。こいつらが使う刀なんてたいして怖くない ”
刀を持つ手首の角度を見れば、相手の力量もわかるというもの。
リュウに守ってもらわなくても大丈夫なんだ。
俺だって……!!
「待て、俺が相手だ」
焔来は丸腰のまま相手の前に躍り出た。
「慌てなくてもてめぇも後で遊んでやる。今は黙って引っ込んでろ!」
「お─ッッ」
すると野党のひとりが焔来に向けて刀を振るった。
…それは本気で殺しにきたというより脅しに近い。
げんに、焔来はその切っ先を難なくかわせたのだ。