この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
明治鬼恋慕
第7章 血の華
しかし、そんな単なる脅しも
リュウにとっては十分すぎるきっかけだった。
───シュッ─
「…?」
「‥‥ぁ゛‥‥!? ガ‥‥‥!!!」
空( クウ )を切り裂く音。
人間の目では追えない速さでリュウの刀が鞘から抜かれている。
ほんの一瞬の沈黙をはさんで、きょとんと間抜け面をさらす野党たち。
その中のひとり──
先ほど焔来に向かって刀を振るった男が、喉の奥から気味の悪い声を出して呻いていた。
「おいお前!!」
「ぅ゛ぅぅぅ‥!! ヴぁ、ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁーー!!」
それは誰が聞いたってわかる。
断末魔の声の──他にない。
切られた首を見せ付けるように上を向き、苦しそうに仰け反った男は、血を吐き出しながら死んでいった。