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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第10章 禁断 編 1-1
素直に喜びを表現し、ひとなつっこい笑顔を見せるあやな。
まだまだ少女の様な雰囲気と、時折見せる大人の入り口にさしかかった様な仕草に、前川は引き付けられているのをハッキリと感じていた。

その後何度も練習を繰り返したあやなは、5,6回は落下してその都度前川に抱きしめられるようにしてマットに倒れ込んでいった。
胸の膨らみに前川の手が当たっても、一瞬照れた表情を浮かべるだけで演技に戻る。
レオタードのお尻への食い込みもその都度直すことをしなくなり、演技中常に前川の目に白く丸い形の良いお尻を見せつける。

教えられたことを吸収するのが速いことに改めて舌を巻きつつ、演技がまとまってきたところで、前川はストップをかけた。
気が付けば、体育館の窓から見える景色は夕方の色になっていた。

「今日はここまでだ。汗が引いて風邪をひかないようにさっさとシャワーを浴びて来い。片づけは俺がやっておく」

頑張ったご褒美に夕食ぐらいは奢ってやるか・・・そう思いながら片付け始めるが、ありがとうございました、と挨拶したあやなは、その場から動こうとせずもじもじしていた。

「なんだ?汗を早く流さないと体調を崩すぞ」
「あの・・・右脚が少し変なんです・・・」

右脚の太腿の裏側を触りだしたあやなの様子を見て、前川が急いで駆け寄った。
館内が急に暗くなった気がしていた。

「痛いのか?我慢して練習をしていたのか?どうして言わなかった!」
焦った表情のまま、怒りの感情に任せて前川は怒鳴った。
その剣幕にあやなは驚いた後、泣きべそをかきそうな顔になり、口ごもる。

「痛くは・・・ないです・・・少しだけ突っ張ってるっていうか・・・」

「痛くは無いんだな?もう一度見せて見ろ!横になれ!」

「は・・・はい・・・すみません・・・」

レオタードのままうつ伏せになったあやなの目が、うっすらと滲んでいるのが分かった。
前川は気が付かない振りをして、左右の太腿の裏側に両手を当てた。

最初に確認した時の様に、お尻から太腿にかけて緊張して力が入っているので、筋肉の感触がよく分からない。

「力を抜くんだ、あやな」「・・・はい・・・すみません」

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