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第12章 イチャラブ　編　１－１

京一に顔を上げられると、泣き顔を見られたくなくて思わず目を瞑ってしまった。
それでも彼の顔が近付いて来る気配を感じた。
自分の身体が固まり動かせない。時間さえ止まった様に感じた次の瞬間、唇が押し当てられた。

ファーストキス・・・

空っぽの頭の中にそんな言葉が浮かぶと、途端に時間が動き出す。
心愛の身体も思考も、激しく鳴り始めた心臓と共に動き出す。

嬉しい！嬉しい！京一とファーストキス・・・

心愛がこの旅行で経験したいと思っていたキスがずっと続ている。
京一が唇を触れさせてきてから、どのくらいの時間がったったのか分からない。

初めは動揺していた心愛も、次第に彼の唇の柔らかさを感じることが出来る様になってきた。
更に梨乃と琢磨のキスの様に激しいキスではなく、押し付けることなくそっと触れる様にしてくれている優しいキスに、彼の気持を感じることが出来る。
そこまで、気持が落ち着いてきていた。

相変わらず心臓がドクドクしていて、身体がポッと熱くなっていても、幸せな気分に包まれて、心愛はずっとこうしていたい、そう思っていた。
手をそっと京一の背中に回す。

それが合図だったかのように京一の手に力が込められて、心愛をギュッと強く抱き締めだした。
彼の胸や下腹部に自分の身体が押し付けられても、嫌な気は全然しない。
心愛はもっと強く抱きしめて・・・と心で思った。

唇もどちらからともなく少しずつ押し付け合うようになる。
自然と開いてしまった心愛の唇を彼の唇が挟み出す。
上唇、下唇と交互に挟み、挟んだ唇に少し力を入れてくる。

それまでの嬉しさに、気持ちよさが加わってきたのを心愛は感じていた。
身体中をゾクゾクさせながら、唇から伝わってくる感情を戸惑いながら受け止めている。

キスってこんなに気持ちいいんだ・・・もっと・・・キスして京一・・・


想像していたよりもずっと柔らかくて、でも張りがある心愛の唇。
強く唇を押し付けたら壊れてしまいそうな、そんな気がしてそっと触れさせていたのに、下半身の高まりと共に、心愛が腕を回してきたことで、一気に我慢できなくなり強く抱きしめてしまった。

本気で強く抱きしめたら折れてしまいそうなほど、身体が華奢だったことに気が付き、ますます愛おしい気持ちが込み上げてくる。