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聖杏学園シリーズ ー囚われの少女達ー
第13章 地下アイドルの秘密 編 1-1
センターで歌いたい気持ちも、最初は無かった。でもライブを続けているうちに欲がどんどん出て来てしまって。
それは私だけじゃなくて、メンバー全員がそんな気持ちに今はなっていると思う。
そうやって競い合いながら成長して、結果グループが大きくなっていったらいいな。
踊りながらメンバーと見つめ合って心で呟く。
みんなそう思っているよね・・・でも・・・

曲のテンポが上がって踊りが激しくなる。
その分パンチラも増えていって会場が更に盛り上がっていく。

私を見て・・・
捲れあがったスカートの裾を恥ずかしげに抑えて、頬を染めてあげるね・・・
胸の膨らみだって・・・ほら、ちゃんとあるでしょ・・・
私から、もう目を離さないでね・・・

視線を意識して、気持ちを込めて、1人1人に囁くように・・・

曲が終わり、始めよりずっと多くの拍手をもらえて、初めてのセンターでやりたいことは全て出来た、そう思えるほど満足感で私はいっぱいでした。
他のメンバーも、きっと同じ気持だったと思う。

「おにいちゃん、大好き!!」

私が最後にそう叫んで、手を振りながらメンバーは舞台袖にはけます。
すぐにアンコールがかかって、呼吸を整えてから舞台に出てきた私達を暖かい拍手が迎えてくれました。
予定通りに、お客さんと盛り上がれる2曲を歌い終わった私達は、リーダーの夏妃さんをセンターにして中央に並びました。
ざわついているライブハウス内に向かって挨拶が始まります。

「今日も応援に来てくださって、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!!」
全員で頭を下げると、いつもの様に胸元に視線を感じながらそれでも拍手が優しくて、少しウルッときてしまいます。

「私達ファータフィオーレは今日で5回目のライブでしたけど、歌も踊りもトークもまだまだ頑張らないといけないなって思っています。
そんな私達に・・・」

急に夏妃さんのマイクを持った右手がダラリと下がって、左手で口元を覆って俯いてしまいました。
眼からポロポロと涙が落ちています。
シーンとしたハウス内は時間が止まってしまったかのようです。
何人かのお客さんから、頑張れっと声がかかり、俯いていた顔が上を向きます。

「・・・ごめんなさい・・・えへへ。えっと、そんな私達にこうして大勢の方が応援に来てくださって、本当に感謝しています」
また拍手が起こります。
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