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女子大生 水野果歩
第166章 女子大生 水野果歩(166)

後藤 「そうか、もしかして他に好きな奴とかができたのか?気になる奴とか。」
果歩 「・・・・・・。」
果歩は何も答える事ができない。
富田という存在が心の中にいる事を、なぜか後藤には言いたくなかった。
それは果歩が自分でも気付かない内に後藤に何かを期待していたからなのかもしれない。
後藤 「水野ってさ、何か寂しそうな顔してるよな。」
ゆっくり歩いていた後藤が急に立ち止まってそう言った。
果歩 「ぇ・・・?」
その言葉に果歩も立ち止まり、後藤の顔を見つめる。
背の高い後藤も、果歩の目を見つめた。
後藤 「なんか元気のない水野を見てるのは辛くてな・・・俺で良かったらいつでも力になるぜ?」
果歩 「・・・後藤君・・・。」
ふと後藤の目を見つめながら胸がドキドキと高鳴ってしまっている自分に気付いた果歩は、慌てて目を反らした。
後藤 「ていうかさ・・・。」
そう言いながら顔を赤くしている果歩に後藤が身体を近づける。
果歩 「・・・・・。」
後藤 「俺、ずっと気になってたんだよね、水野の事。」
果歩 「ぇ・・・?」
後藤の口から出た意外な言葉に、思わず果歩は後藤の顔を見上げた。
後藤 「俺がいつも水野の方見てたの気付かなかった?」
肩に手を乗せてきた後藤に果歩は小さく首を横に振った。
後藤 「水野と幸せそうにしてた友哉に嫉妬してたんだよ。」
果歩 「・・・後藤君・・・」
そして肩に触れていた後藤の手が果歩の身体を抱き寄せる。
果歩は突然の事に内心驚きながらも、それを拒否するような動きは見せなかった。
後藤 「・・・水野・・・俺・・・」
果歩 「・・・・・」
見つめ合う2人。
果歩 「・・・後藤君・・・」
久しぶりの男性の温もりに、果歩は冷たくなっていた心から寂しさという鎖が解かれていくのを感じた。
真剣な表情で顔を近づけてくる後藤。
果歩はそれをゆっくりと目を閉じて受け入れた。

